【研究】死んだ植物を工業製品にリサイクルし、温室効果ガスを削減する

【研究】死んだ植物を工業製品にリサイクルし、温室効果ガスを削減する テクノロジー

植物は空気中のCO2を吸収する能力に優れていますが、その効果は一時的なもので、植物が死んでしまった場合、分解されて大気中に炭素が放出されてしまいます。研究者たちは、植物を炭化ケイ素(SiC)という貴重な工業材料に変えることで、捕獲された炭素をより永続的かつ有用なものにすることを提案しています。

RSC Advances誌に掲載された新しい研究では、ソーク大学の科学者たちがタバコとトウモロコシの皮をSiCに変換し、そのプロセスをこれまでになく詳細に定量化しました。これらの調査結果は、CO2レベルが前例のないほどのレベルに上昇し続ける中で、Salk’s Harnessing Plants Initiativeのメンバーなどの研究者が、気候変動を緩和する可能性のある『炭素隔離戦略』を評価および定量化するのに不可欠です。

「今回の研究では、この貴重な物質をどのようにして作り、大気中からどれだけの炭素原子を取り出したのかを、非常に丁寧に説明しています。光合成のような自然のシステムを利用して、工業副産物であるCO2を価値のある物質に変換しながら、温室効果ガスを削減するために、植物がどのような役割を果たせるかを推定することができます」と、共同執筆者でソーク大学教授のジョセフ・ノエル氏は語る。

SiCはカーボランダムとも呼ばれ、セラミック、紙やすり、半導体、LEDなどに使われる超硬質材料です。ソーク大学の研究チームは、これまでに報告されている方法を用いて、植物材料を3段階に分けてSiCに変換し、各段階で炭素をカウントしました。まず、生育期間の短いタバコを種から育てました。次に、収穫した植物を凍らせて粉にし、ケイ素含有化合物を含むいくつかの化学物質で処理しました。最後の3段階目では、石化(石のような形にすること)した植物を1600℃まで加熱して、SiCを作りました。

筆頭著者でソーク大学のスタッフ研究員であるスザンヌ・トーマス氏は、「化石燃料から作られることが多い貴重なグリーン材料(環境負荷軽減に貢献する材料の総称)を生産する一方で、トウモロコシの皮のような農業廃棄物からどれほど多くの炭素を隔離できるかを実証できたことが大きな収穫でした」と語る。

植物の粉末を元素分析したところ、種子から実験室で育てた植物の隔離された炭素の量が5万倍に増加しており、植物が大気中の炭素を効率的に回収していることがわかりました。

石化のために高温に加熱すると、植物はさまざまな分解生成物として炭素を失いますがが、最終的には植物が取り込んだ炭素の約14%を保持することができました。

研究者らの計算によると、1.8gのSiCを製造するプロセスには、約177kW/hのエネルギーが必要であり、その大部分(70%)は石化工程の炉に使用されています。著者らは、現在のSiCの製造プロセスには同程度のエネルギーコストがかかると述べています。つまり、製造に必要なエネルギーは、植物からSiCへのプロセスがカーボンニュートラルではないことを意味するが、研究チームは、再生可能エネルギー企業が開発した新しい技術によって、エネルギーコストを下げることができると提案しています。

共同執筆者でソーク大学客員研究員のジェームズ・ラ・クレア氏は、「これは、環境に配慮した方法でSiCを製造するための一歩です」と述べている。

研究チームは今後、このプロセスをより多くの植物、特にスギナや竹のように自然に大量のケイ素を含む植物で試してみたいと考えている。

Source:sciencedaily,DOI: 10.1038/s41598-021-94914-x

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