免疫細胞が協力して細菌を捕らえて殺すことが明らかになった

免疫細胞が協力して細菌を捕らえて殺すことが明らかになった 生物学

クモが獲物を捕らえるように、私たちの免疫系細胞は協力して細菌を捕らえ、「食べる」ことができます。

この新たな抗菌メカニズムは、9月10日付けのScience Advances誌で報告されたもので、黄色ブドウ球菌(staph)をはじめとする細胞外の細菌性病原体に対抗するための新たな戦略のヒントとなりそうです。

感染部位に移動する一次応答免疫細胞である好中球は、自己破壊してタンパク質やDNAを放出し、好中球細胞外トラップ(NET)を形成することが知られていました。今回、ヴァンダービルト大学のAndrew Monteith博士を中心とする研究者らは、NETがもう1つの免疫細胞であるマクロファージの細菌殺傷能力を高めることを発見しました。

「好中球は細菌を固定化するクモの巣を作り、マクロファージは細菌を飲み込んで殺すクモです。」と、アーネスト・W・グッドパスチャー病理学・微生物学・免疫学教授で、ヴァンダービルト感染・免疫・炎症研究所所長のEric Skaar博士(MPH)は述べています。

黄色ブドウ球菌(特に抗生物質耐性菌)は、院内感染、感染性心疾患、膿を形成する皮膚や軟部組織の感染症の主要な原因となっています。

好中球とマクロファージは、細菌を摂取し、抗菌ペプチドや活性酸素などの酵素を産生して感染症と戦う食細胞として知られています。プログラムされた細胞死の一形態と考えられているNET生成(NETosis)は、より最近になって発見された好中球の抗菌戦略である、とSkaar博士は言います。放出された好中球のDNAは、抗菌ペプチドもちりばめられた粘着性のあるトラップを作ります。

筆頭著者のAndrew Monteith博士らは、NETosisが亢進した好中球を動物やin vitroのモデル系で用いて、NETの生物学的機能を調べました。その結果、NETosisの亢進は、単独では好中球の殺傷能力を向上させないことがわかりました。しかし、マクロファージが存在する場合には、NETが形成されると、好中球の抗菌ペプチドとともにNETに付着したブドウ球菌の貪食作用が高まり、マクロファージの抗菌活性が向上することがわかりました。

「マクロファージは、自分の抗菌薬だけでなく、好中球の抗菌薬も一緒に持っていて、同じ区画で細菌を殺すことになるのです。」とSkaar博士は述べています。

また、NETosisが増加すると、肺炎レンサ球菌や緑膿菌などの他の病原菌に対するマクロファージの殺傷力も向上しました。今回の研究成果は、好中球とNET、マクロファージの協力関係が、広く使われている免疫防御メカニズムであることを示唆しています。

また、DNAを切断するヌクレアーゼを除去すると、細菌がNET-マクロファージによる殺傷に対してより敏感になることも示されました。

Skaar博士は、「ブドウ球菌のような細胞外病原体は、NETから抜け出すために、クモの巣を切り取って逃げられるように、分泌型のヌクレアーゼを進化させてきたのではないでしょうか。」と語っています。

「ヌクレアーゼをブロックすれば、病原体はNETによる殺傷の影響を受けやすくなり、良い抗菌治療戦略になるかもしれません。このような「抗ウイルス」のアプローチにより、食細胞などの免疫細胞が本来の仕事をして細菌を殺すことができるようになる。」、とSkaar博士は言います。

「科学者たちは、抗ウイルス戦略のアイデアに興奮しています。なぜなら、私たちは細菌の病原性メカニズムについて多くのことを知っており、それを阻害する独創的な方法を考え出すことができるからです。」と彼は言います。しかし、現在の製薬会社の取り組みは、細菌の病原性を鈍らせるのではなく、細菌を直接殺す薬が中心となっています。

Andrew Monteith博士、Eric Skaar博士らは、好中球がいつ、どのようにしてこのような細胞死を選択するのかなど、NETosisに関する研究を続けています。また、遺伝子の違いや病気の状態などによるNETosisの個人差が、感染症にどのように影響するかにも関心があります。例えば、特定の自己免疫疾患のある人では、NETosisが低下することで、ブドウ球菌感染症にかかりやすくなる可能性があるといいます。

Science Advances誌に掲載された論文の他の著者は、Jeanette Miller、Noel Maxwell、Walter Chazin(PhD)の各氏です。

Published by Vanderbilt University Medical Center. Neutrophil extracellular traps enhance macrophage killing of bacterial pathogens, Science Advances (2021). DOI: 10.1126/sciadv.abj2101

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