電子機器を冷やす切り紙

電子機器を冷やす切紙テクノロジー
切り紙と空気対流による放熱により低温発光する無機EL素子の模式図。©Kojiro Uetani et al., NPG Asia Materials

大阪大学、大分工業高等専門学校、東京工芸大学の研究者らは、切り紙と呼ばれる伝統的な紙の芸術様式を用いて、熱エネルギーを素早く放出するセルロースナノファイバーを作成しました。

これにより、コンピュータや産業機械の廃熱を取り除くことができるかもしれません。

大阪大学産業科学研究所、大分工業高等専門学校、東京工芸大学の研究者らは、折り紙に似た伝統的な紙のデザインである「切り紙」をもとに設計された熱伝熱性のホヤ殻由来セルロースナノファイバーフィルム1セルロース製の紙や布が断熱的なのは空気を多く含むためであり、高結晶性のセルロースナノファイバーそのものは汎用的なプラスチックよりも熱伝導性が高い。本研究では、セルロースの中でも特に熱伝導性の高いマボヤの殻由来のセルロースナノファイバーを用いている。を用いて、受動的対流冷却の向上を実証しました。

折り紙との違いは、折るだけでなく、切ることができる点です。

この研究により、小型のフレキシブル電子機器が過熱せずに動作するようになるかもしれません。

コンピュータメーカーは、小型化されたマイクロチップにこれまで以上に多くのトランジスタを詰め込もうとしており、廃熱の除去という問題がますます切実になっています。

従来の受動的な冷却システムは、金属製のヒートシンクの周りを対流する空気の流れを利用していますが、大きくて硬いものが多いです。

しかし、小型のウェアラブル電子機器の多くは、より安価で柔軟な放熱方法を必要としています。

このたび、大阪大学を中心とする研究チームは、セルロースナノファイバーフィルムを切り紙状に加工することで、冷却機能を飛躍的に向上させることができることを発見しました。

「網飾り2代表的な切り紙の一種で、線形の切れ込みを交互に入れたパターンから成る。七夕飾りとして有名。」と呼ばれるシンプルな切り紙の模様を延ばすことで、フィルムの切り口が空気を通す広い穴になります。

この切り紙フィルムは、元々カットされていないフィルムよりも冷却性能が高いのですが、そこに空気の流れを与えることで冷却性能が飛躍的に向上します。

伝統的なデザインに基づいてレーザーカットされたフィルムを用いて、黒鉛で黒く塗られた部分に光を照射して放熱試験を行ったところ、気流下では切り紙フィルムとノーカットフィルムの最高温度に劇的な差が生じることが確認されました。

「セルロースナノファイバーフィルムの上に、通常は過熱しやすい粉体の分散型EL素子(EL)3無機EL(Electroluminescent)の一種で、電界により加速された電子によって無機蛍光粒子が発光する素子である。耐環境性および加工性に優れ、シンプルな構造のため、時計や携帯電話のバックライト等、発熱量を抑えた低輝度光源として実用化された実績がある。素子を作ることで、”涼しい “光源も開発しました。」と、筆頭著者の上谷幸治郎助教授は語ります。

その結果、熱抵抗4入力熱量と上昇温度の比率。温度上昇が小さい時に値が小さくなり、放熱性能が高いことを示す。は切り紙システムを使用しなかった場合の約1/5に低減されました。

切り紙CNFフィルムに対する放熱性試験。

切り紙CNFフィルムに対する放熱性試験。疑似発熱源の熱を切り紙と対流によって空気に伝達し、効果的に冷却することを実証。©Kojiro Uetani et al.

上席著者の能木雅也教授は、「切り紙放熱のコンセプトは、さまざまなフィルム材料を放熱部品として使用する新しい熱設計を可能にするもので、次世代の電子機器に使用される新しい冷却装置や冷却方法に幅広くインスピレーションを与えることが期待されます。特に、次世代のウェアラブルデバイスは、現在の冷却材料では嵩張り、柔軟性に欠けるという難しい課題があるため、本研究はウェアラブルデバイスの開発に役立つ可能性があります。」と述べています。

分散型EL素子の切り紙加工で発現する放熱性。

分散型EL素子の切り紙加工で発現する放熱性。©Kojiro Uetani et al.

Published by Osaka University. Kojiro Uetani et al, Kirigami-processed cellulose nanofiber films for smart heat dissipation by convection, NPG Asia Materials (2021). DOI: 10.1038/s41427-021-00329-5

 

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