効率的かつ低コストで食品偽装を検知する方法

効率的かつ低コストで食品偽装を検知する方法生物学

食品製造における不正行為、特に産地偽装は、毎年何十億ドルもの経済的損失をもたらしています。

バーゼル大学の植物学者は、このたび、効率的かつ低コストで食品の原産地を判定できるモデルを開発しました。

スイス産のイチゴやイタリア産のオリーブオイルは、他の国の同じ製品よりもはるかに高い価格で販売することができます。

当局も食品業界も、年間3,000万〜400億米ドルの経済的損害を与えていると想定される地理的原産地の虚偽申告との戦いに多くの時間を費やしています。

食品偽装を検知する方法の一つとして、製品サンプルの酸素同位体比を表すδ18O(デルタO-18)値を測定する方法があります。

これまでは、この方法は非常に時間とコストがかかるものでした。

不正が疑われるケースでは、原産国の基準データだけでなく、他の地域の比較データも収集して、原産性の検証や反証を行う必要がありました。

モデル計算によるコスト削減

バーゼルの植物学者であるFlorian Cueni博士は、同位体分析を専門とするAgroisolabと共同で、あるモデルを開発しました。

このモデルは、各地域の植物の酸素同位体比をシミュレーションするためのもので、これにより、時間のかかる基準データの収集が不要になります。

このモデルは、一般に公開されているデータベースから得られる気温、降水量、湿度、および植物の生育期間に関する情報に基づいています。

Cueni氏は、ヨーロッパで11年間かけて収集したイチゴのδ18O基準データを用いて、このモデルのテストと検証を行いました。

このケーススタディでは、本モデルが高い精度でイチゴの原産地をシミュレートできることが示されました。

幅広い用途に対応

研究プロジェクトを主導したAnsgar Kahmen教授は、「パラメータをわずかに調整するだけで、このモデルはすべての植物製品の判定に使用できます。」と語ります。

これにより、農業食品の原産地を正確にシミュレーションすることで、従来の同位体分析を簡略化・迅速化することが可能になります。

バーゼル大学の植物学者が開発したモデルは、例えば、没収された薬物の原産地に関して、食品鑑識官や捜査当局が関心を持つだけでなく、食品を検査したり、法廷で鑑定人を務める民間の鑑識機関も関心を持つといいます。

また、WWF(世界自然保護基金)やGreenpeace(グリーンピース)などのNGOも、特に違法伐採された木材の原産地の特定に関心を持っていますし、虚偽の申告をした可能性のある製品を販売することで風評被害を受ける食品業界も関心を持っています。

Published by University of Basel. Florian Cueni et al, Using plant physiological stable oxygen isotope models to counter food fraud, Scientific Reports (2021). DOI: 10.1038/s41598-021-96722-9
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