燃焼により電子機器用の点字ディスプレイを作成

燃焼により電子機器用の点字ディスプレイを作成テクノロジー

画像:コーネル大学を中心とする共同研究チームは、燃焼を利用してシリコン膜の「ドット」を膨らませるシステムを開発しました。このドットは、将来的に電子機器のダイナミックな点字ディスプレイとして利用できる可能性があります。また、この伸縮自在の技術は、ソフトロボットや手術器具、ウェアラブルなバーチャルリアリティ機器などにも応用できる可能性があります。

目の不自由な人のためのiPadやKindleを想像してみてください。

触ると形が変わる、膨らませた点字が付いています。

コーネル大学を中心とする共同研究チームは、このような技術に欠かせない部品を開発しました。

それは、高密度に配置されたアクチュエーター1力されたエネルギーもしくはコンピュータが出力した電気信号を、物理的運動に変換する、機械・電気回路を構成する機械要素。の触覚アレイで、燃焼によってシリコーン膜の「ドット」が飛び出す仕組みになっています。

この研究チームの論文「Valveless Microliter Combustion for Densely Packed Array of Powerful Soft Actuators」は、2021年9月28日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されました。

主著者は、博士課程の学生であるRonald Heisser氏です。

電子機器用のダイナミック(動的)な点字ディスプレイを設計する上での大きな課題の1つは、各ドットに必要な力をどのように加えるかということです。

工学部の機械・航空宇宙工学准教授で論文の上席執筆者であるRob Shepherd氏は、「これまでの試みは、モーター、油圧、繋いだポンプなど、いずれも煩雑で複雑、かつ高価なものでした。実物のように感覚的に形状を変えられるものは、今のところ存在しません。小さなアクチュエーターと、サイズや重量、コストとの間にはトレードオフの関係があります。これはとても難しいことです。皆、電気機械式のシステムを試しています。そこで私たちは、電気を一切使わず、燃焼を利用してはどうかと考えました。少量のガスで強力な出力が得られるのですから。」と言います。

コーネル大学のチームは、テクニオン – イスラエル工科大学の研究者と共同で、主に成形シリコンとマイクロ流体液体金属トレースで構成されるシステムを設計しました。

このシステムでは、液体金属電極が火花を発生させて、メタンと酸素をあらかじめ混合したマイクロスケールの体積に点火します。

この配列デザインでは、この燃料が一連の独立した流路を流れ、それぞれが幅3ミリのアクチュエーターにつながっています。

急速な燃焼により、それぞれの場所にある薄いシリコン膜が数ミリ膨らみます。

このドットの形状は、磁気ラッチシステムによって維持されており、ドットを押すだけでシステム全体がリセットされます。

電気機械式のバルブを必要としないため、アクチュエーターをより高密度に配置することができます。

その結果、小型で持ち運び可能なシステムとなりましたが、それでも1ミリ秒以下で大きな変位を大きな力で生み出すことができます。

また、流動性エラストマーのアクチュエーターは冷却が早く、燃料も少なくて済むため、商用版を安全に運用することができます。

また、この技術は伸縮自在で変形可能なため、ソフトロボットや、人工的な触覚を再現するウェアラブルなバーチャルリアリティ機器など、さまざまな用途に応用できると期待されています。

また、この生体適合性の高いコンポーネントは、組織を操作したり、医療患者の閉塞した通路を開いたりする手術器具にも利用できる可能性があります。

現在のシステムは、9つの流体エラストマーアクチュエーターで構成されていますが、研究者たちは、これをスケールアップして、最終的には完全な電子触覚ディスプレイを作りたいと考えています。

Heisser氏は、「過去30年以上にわたり、人々はアクチュエーターを非常に緊密に配列しようとしてきました。私たちにとって触覚は、ある意味、視覚よりも身近なものです。この技術には大きな可能性があります。私たちの研究は、この技術についてもっと多くの考え方があることを示していると思います。ケミカルアクチュエーションは、決して無視できるものではありません。」と述べています。

共著者には、機械・航空宇宙工学准教授のElizabeth Fisher氏、機械・航空宇宙工学准教授のPerrine Pepiot氏、機械・航空宇宙工学助教授のSadaf Sobhani氏、博士課程学生のCameron Aubin氏、Nicholas Kincaid氏、博士研究員のHyeon Seok An氏、テクニオン – イスラエル工科大学の研究者らが名を連ねています。

この研究は、全米科学財団、空軍科学研究局、スローン財団の支援を受けて行われました。

研究チームは、原子・固体物理学研究所(LASSP)の専門機械工場で多くの部品を製作しました。

Published by Cornell University. Ronald H. Heisser et al, Valveless microliter combustion for densely packed arrays of powerful soft actuators, Proceedings of the National Academy of Sciences (2021). DOI: 10.1073/pnas.2106553118
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