光合成をする藻類をオタマジャクシに注入し、脳に酸素を供給する

光合成をする藻類をオタマジャクシに注入し、脳に酸素を供給する生物学

水と陸の二重生活を送るカエルは、一生の間に、エラ、肺、皮膚を使ってさまざまな呼吸法を行っています。

今回、ドイツの研究者らは、オタマジャクシの血液中に藻類を導入して酸素を供給することで、オタマジャクシを「呼吸」させる方法を開発しました。

今回開発された方法は、10月13日に学術誌「iScience」で発表され、酸素不足のオタマジャクシの脳の神経細胞を効果的に救うのに十分な酸素を供給しました。

ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのHans Straka教授は、「藻類は実際に、神経細胞を生き返らせることができるほど多くの酸素を生成しました。多くの人にとって、これはSFのように聞こえるかもしれませんが、結局のところ、生物学的な仕組みと生物学的な原理をうまく組み合わせたものなのです。」と述べています。

アフリカツメガエル(Xenopus laevis)のオタマジャクシの脳における酸素消費量を研究していたStraka氏は、植物学者との昼食時の会話の中で、光合成の力を利用して神経細胞に酸素を供給するという、植物生理学と神経科学を組み合わせたアイデアを思いつきました。

このアイデアは、それほど突飛なものではありませんでした。

自然界では、海綿体や珊瑚、イソギンチャクの中に藻類が共生し、酸素や栄養分を供給しています。

カエルのような脊椎動物ではどうでしょうか?

その可能性を探るため、研究チームはオタマジャクシの心臓に緑藻(クラミドモナス・レンハードティ)や藍藻(シネコシスティス)を注入しました。

心臓が動くたびに、藻類は血管を通って脳に到達し、半透明のオタマジャクシが鮮やかな緑色に変わっていきました。

このオタマジャクシに光を当てると、どちらの藻類も近くの細胞に酸素を送り込むようになりました。

藻類を脳に行き渡らせた後、研究チームはオタマジャクシの頭部を分離し、細胞の機能を維持するための必須栄養素が入った酸素バブルバスに入れて、神経活動と酸素レベルをモニターしました。

酸素バブルバスから酸素がなくなると、神経の発火が止まり、静かになりました。

しかし、オタマジャクシの頭に光を当てると、15〜20分で神経活動が再開しました。

これは、藻を使わずに酸素を補充した場合の約2倍の速さです。

また、復活した神経は、酸素がなくなる前と同じかそれ以上の性能を発揮し、研究者たちの方法が迅速かつ効率的であることを示しました。

「この方法で原理実証実験を行うことに成功しました。驚くほどの信頼性と堅牢性があり、私の目には美しいアプローチと映りました。原理的にうまくいったからといって、最終的に応用できるわけではありませんが、他の研究を開始するための第一歩です。」とStraka氏は言います。

研究チームは、今回の発見が、脳卒中や、水中や高地などの酸素不足の環境で引き起こされる症状に対する新しい治療法につながる可能性があると考えていますが、藻類は人間の血液循環に入るにはほど遠い状態です。

チームの次のステップは、注入した藻類が生きたオタマジャクシの体内で生存し、酸素を生産し続けることができるかどうか、また、免疫反応を起こしてオタマジャクシに大打撃を与えないかどうかを確認することです。

また、Straka氏は、今回の研究が、単離された組織やオルガノイド1幹細胞を使った人工臓器を扱う他の研究室にも役立つと考えています。

酸素を産生する藻類を導入すれば、これらの組織の成長を助け、生存率を高めることができ、実験に必要な生きた動物を減らすことができるかもしれません。

Straka氏は、「新しいアイデアや新しいコンセプトを探求しなければなりません。これは、科学が推進される方法の1つです。心を開いてよく考えてみると、突然、一つのアイデアからあらゆる可能性が見えてくるのです。」と言います。

Published by Cell Press. Özugur et al., Green oxygen power plants in the brain rescue neuronal activity. Green oxygen power plants in the brain rescue neuronal activity. iScience, 2021 DOI: 10.1016/j.isci.2021.103158
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