レーザーを使って翼竜の謎に迫る

レーザーを使って翼竜の謎に迫る 生物学

翼竜と呼ばれる空飛ぶ爬虫類は、恐竜に最も近い親戚で、動力による飛行を進化させた最初の脊椎動物です。

しかし、翼竜の飛行解剖学や飛行性能については、まだ不明な点が多いです。

香港大学地学部・脊椎動物古生物学研究室の助教授であり、香港大学理学部の副学部長であるMichael Pittman博士が率いる新しい研究によると、翼竜は、抵抗を減らして飛行性能を向上させるために、翼と胴体の接合部を筋肉質に進化させたとのことです。

この研究成果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されました。

Pittman氏らは、レーザー誘起蛍光法を用いて、ジュラ紀後期の翼竜の化石の骨と軟部組織を画像化し、その飛行性能を分析しました(図1)。

レーザー誘起蛍光法を用いて、ジュラ紀後期の翼竜の化石の骨と軟部組織を画像化

図1©University of Hong Kong

これは、紫色のバイオレットレーザーで化石をスキャンし、翼竜の骨や露出した軟部組織が発する蛍光を長時間露光して撮影したものです。

その結果、翼竜には、現代の飛行機の翼根部のフェアリング1空気抵抗を減らす為に飛行機やオートバイ等に被せる部品。のように、翼と胴体の接合部の気流を滑らかにして抵抗を減らす翼根部フェアリングがあったことが示唆されました(図2)。

翼竜には翼根部フェアリングがあったことが示唆されました

図2©University of Hong Kong

「鳥類では羽毛で作られています。コウモリは毛でできています。一方、翼竜の翼根部は、主に骨格筋でできていました。」と、今回の標本を研究したPittman氏の研究室の助手、 Luke A. Barlow氏は指摘します。

鳥やコウモリのフェアリングとの比較

鳥やコウモリのフェアリングと比べて、翼竜はより筋肉質であったと考えられます。©Pittman et al. / PNAS

Pittman氏は、「この筋骨隆々の翼根部フェアリングは、翼竜にとって、飛行ストローク中の力の発生を改善し、不要な振動などの『フラッター』を最小限に抑えるなど、翼の形状を高度に制御するなど、さらなる飛行上の利点をもたらしたと考えられます。」と述べています。

Muscular Wing-Body Junction Improved Pterosaur Flight Performance

今回の研究の意義について、共著者である米国科学振興財団のThomas G Kaye氏は、「鳥類が飛翔を進化させたばかりのジュラ紀後期にあっても、翼竜は想像以上に高度な飛翔能力を持っていたことがわかりました。この研究は、翼竜の飛行解剖学と進化の理解に新しい技術が貢献する可能性を示しています。今後の研究に期待しています。」と述べています。

Published by University of Hong Kong. Michael Pittman et al, Pterosaurs evolved a muscular wing–body junction providing multifaceted flight performance benefits: Advanced aerodynamic smoothing, sophisticated wing root control, and wing force generation, Proceedings of the National Academy of Sciences (2021). DOI: 10.1073/pnas.2107631118.