独創的な新プロセスで折り畳める汎用性の高い成形可能な木材を実現

独創的な新プロセスで汎用性の高い成形可能な木材を実現 化学

持続可能な素材で作られた構造物や自動車は、現代のニーズを満たすだけでなく、将来の世代のためにも必要とされています。

天然の木材は、他の材料に比べてライフサイクルコストが低く、強度、軽量性、耐久性に優れた自然の複合材料であり、その特性や機能性を向上させることができれば、一般的に使用されているポリマーや金属、合金に代わる魅力的な材料となり得ます。

これまで、脱リグニンや高密度化などのアプローチが試みられてきましたが、これまでのところ、金属やプラスチックが提供するような成形性を実現することはできませんでした。

このたび、急速な「ウォーターショック」プロセスを用いて、強度と成形性に優れた木材を作り出すことができる革新的な新技術が開発され、Science誌の表紙を飾りました。

ブリストル大学の研究チームは、木材からリグニン(木材内部の細胞壁を結合し、木材に強度を与える高分子)を抽出し、蒸発させて木材の繊維を閉じた後、水で衝撃を与えて木材を再膨張させました。

メリーランド大学マテリアル・イノベーション・センター長のLiangbig Hu教授は、「急速なウォーターショックにより、部分的に開いたシワのある明確な細胞壁構造が形成され、圧縮のためのスペースが確保されるとともに、大きな歪みを耐える能力があり、素材を簡単に折り畳んで成形することができようになりました。結果として得られた3D-Molded Woodは、出発点となった木材の6倍の強度を持ち、アルミニウム合金のような広く使用されている軽量素材に匹敵します。」

この「成形可能な木材」は、さまざまな形に折り畳むことができ、最終製品を形成する前に乾燥させることができます。

加工された木材の驚くべき折り畳み性は、そのしわくちゃの細胞壁構造に由来しており、破壊されることなく厳しい折り畳みに耐えることができます。

この研究は、メリーランド大学、イェール大学、オハイオ州立大学、米国農務省森林局、ブリストル大学、ノーステキサス大学、チューリッヒ工科大学、Center for Materials Innovationの共同研究によるものです。

共著者であるブリストル大学のStephen Eichhorn教授は、木材がどのようにして変形するのか、そのメカニズムの一部を解明しました。

Eichhorn氏は、セルロース系材料の専門家であり、20年以上にわたってセルロース繊維、木材、複合材料、植物由来の材料を研究してきました。

Eichhorn氏は、子供の頃、父親が木で自分の飛行機を作っていたという思い出を語っている。

「父は飛行機の翼に使う木を蒸気で曲げていました。機械的特性を向上させながら、このように柔軟な木材を作ることができます。これは本当に素晴らしい素材です。」と述べています。

共同執筆者であるメリーランド大学のTeng Li教授は、「成形可能な木材は、持続可能な構造材料としての木材の潜在的な用途を大幅に広げ、建築物や輸送用途における環境への影響を軽減します。」と言います。

米国農務省森林製品研究所のJY Zhu氏は、「既成概念にとらわれない先進的な木材材料の開発は、多くの非持続的な構造材料を代替し、気候変動に対処するための持続可能なソリューションとして、木材製品および市場のイノベーションを促進します。また、壊滅的な森林火災を減らすための健全な森林管理のために、森林の間伐費用を軽減させることにもつながります。。」

Hu教授は、2016年にInventWood LLCを設立し、この3D成形可能な木材を含む、研究室で発明された先進的な木材技術を商品化しています。

共同執筆者であるノースウェスタン大学のJohn Rogers教授は、「研究者たちは、木材の自然発生的な直壁の細胞構造を、マイクロスケールで、波状のアコーディオンのような幾何学模様に変える手段を導入しました。その結果、柔軟性と成形性を兼ね備えた、珍しい高強度の木材が誕生し、この非常に古い種類の素材に新たな用途を開くことができました。」と述べています。

Provided by University of Bristol. Shaoliang Xiao et al, Lightweight, strong, moldable wood via cell wall engineering as a sustainable structural material, Science (2021). DOI: 10.1126/science.abg9556