すばる望遠鏡を使用し生まれたての太陽系外惑星を発見:国立天文台ハワイ観測所

©Subaru Telescope and Gaidos, et al. (2021) 天文・宇宙
画像:親星から地球-太陽間の距離の約100倍に位置する2M0437 惑星系。この画像は、マウナケア山頂のすばる望遠鏡で撮影されました。母星の明るさはほとんど失われており、4つの “トゲ “は望遠鏡の光学系が作り出したものです。

ハワイ大学マノア校の教職員、学生、卒業生を中心とした国際的な科学者チームは、遠くの幼い星の周りに、これまでに発見された中で最も若い惑星の一つを発見しました。

他の星の周りには何千もの惑星が発見されていますが、今回の惑星の特徴は、形成されて間もないため、直接観測できることです。

『2M0437b』と名付けられたこの惑星は、惑星がどのように形成され、時間とともに変化していくのかについての理解を深め、太陽系と地球の起源に新たな光を当ててくれる数多くの天体の一つです。

この詳細な研究成果は、英国王立天文学会のMonthly Notices of the Royal Astronomical Societyに掲載されました。

マノア大学地球科学部のEric Gaidos教授は、「この偶然の発見により、望遠鏡で直接観測できる惑星の数が増えました。この惑星からの光を分析することで、惑星の組成や、母星の周りにあるガスと塵の長い間消えていた円盤の中1星の成長過程で円盤は散逸していくで、どこでどのようにして形成されたのかを知ることができます。」と説明しています。

研究者たちは、この惑星が木星の数倍の質量を持ち、数百万年前に恒星とともに形成されたと推定しています。

この惑星は非常に若いため、形成時に放出されたエネルギーによってまだ高温で、キアラウエア火山から噴出する溶岩と同じような温度になっています。

すばる望遠鏡とケック望遠鏡

国立天文台ハワイ観測所

2018年、『2M0437b』は、ハワイ大学天文学研究所(IfA)客員研究員の平野照幸助教(自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター/国立天文台ハワイ観測所)によって、マウナケア山頂のすばる望遠鏡で初めて観測されました。

ここ数年は、マウナケアの他の望遠鏡を活用して注意深く研究されています。

Gaidos教授と共同研究者たちは、マウナケア山頂のケック望遠鏡を使って、恒星が空を移動する際の位置を監視し、惑星『2M0437b』がより遠くにある天体ではなく、恒星の伴星であることを確認しました。

恒星はゆっくりと天空を移動するため、観測には3年を要しました。

この惑星と親星は、「おうし座分子雲」と呼ばれる恒星の「苗床」の中にあります。

『2M0437b』は、太陽系の惑星よりもはるかに広い軌道をとっており、現在の距離は地球-太陽間の距離の約100倍で、観測が容易です。

しかし、地球の大気による画像の歪みを補正するためには、高度な「補償光学」が必要です。

「今回の発見には、世界最大級の2つの望遠鏡、補償光学技術、そしてマウナケアの澄んだ空が必要でした。今後もこのような発見があり、未来の技術や望遠鏡を使って、このような惑星をより詳しく研究できることを期待しています。」とIfAの天文学者であるMichael Liu氏は述べています。

今後の研究の可能性

今回発見された惑星について、より詳細な研究を行うことは、それほど遠くないかもしれません。

「NASAのハッブルや、まもなく打ち上げられるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などの宇宙望遠鏡による観測で、その大気中のガスを特定したり、その惑星が月形成ディスクを持っているかどうかを明らかにすることができます。」とGaidos氏は付け加えました。

『2M0437b』が周回する恒星は、肉眼では見えないほど暗い星ですが、現在ハワイでは、夜明け前の時間帯に、この若い惑星とおうし座分子雲にある他の幼い星が、明るい星Hokuʻula(アルデバラン)の北、Makaliʻi(プレアデス)星団の東のほぼ真上に見えています。

この研究には、ハワイ大学の大学院生や卒業生が貢献しています。

Rena Lee氏(地球科学大学院生)、Maïssa Salama氏(IfA大学院生)、そしてIfA卒業生のZhoujian Zhang氏、Travis Berger氏、Sam Grunblatt氏、Megan Ansdell氏。

Published by University of Hawaii at Manoa. Zodiacal Exoplanets in Time (ZEIT) XII: A Directly-Imaged Planetary-Mass Companion to a Young Taurus M Dwarf Star, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (2021). DOI: 10.1093/mnras/stab3069.