『プラスティスフィア』の中へ。環境問題の新たな脅威を研究するために日本の海を捜索する科学者たち

『プラスティスフィア』の中へ。環境問題の新たな脅威を研究するために日本の海を捜索する科学者たち 地球
プラスチック製の包装材や合成繊維の衣類、漁網などから発生する小さな浮遊物は、過去40年間に急増し、現在では世界中の海のあらゆる場所で発見されています。©Charly TRIBALLEAU AFP

日本の伊豆半島沖の一見きれいな海に船員が網を投げ入れていますが、これは魚を捕るためではなく、海洋生物に与える汚染の影響を知るためにマイクロプラスチックを拾っているのです。

プラスチック製の包装材、合成繊維の衣類、漁網などから発生する小さな浮遊物は、過去40年間に急増し、現在では世界の海のあらゆる場所、最も深い海溝でも発見されています。

昨年発表された研究によると、地球上の海底には推定1,400万トンのマイクロプラスチックが散らばっており、科学者たちは、生態系や食物連鎖、人間の健康への影響を含め、マイクロプラスチックに関するさらなる研究が緊急に必要だと述べています。

そこで、フランスと日本の研究者チームは、マイクロプラスチックがどのように海に流れ込み、どのくらいの量が海底に浸透するのかを調べるために、列島の沿岸水域のサンプルを分析しています。

また、廃棄されたプラスチックの中に微生物が生息する、いわゆる『プラスティスフィア』についても調べています。

フランスと日本の研究者チームは、マイクロプラスチックがどのように海に流れ込み、どのくらいの量が海底に浸透するかを研究するため、列島の沿岸水域のサンプルを分析しています。

フランスと日本の研究者チームは、マイクロプラスチックがどのように海に流れ込み、どのくらいの量が海底に浸透するかを研究するため、列島の沿岸水域のサンプルを分析しています。 ©Charly TRIBALLEAU AFP

「1970年代以前には存在しなかった新しい生態系なのです。そのため、どのような種類の微生物がこのプラスチックに関係しているのか、よくわかっていません。」とTara-Jambioプロジェクトの科学責任者であるSylvain Agostini氏は、AFPに述べています。

「ソック」と呼ばれる漏斗状の網を海面近くで15分間漂わせた後、乗組員はその網を甲板に引き上げ、中身を確認しました。

「この青いものはマイクロプラスチックで、これはポリスチレンだと思います。」とAgostini氏は述べています。

2020年4月に調査を開始して以来、200以上のサンプルを採取しましたが、そのすべてにマイクロプラスチックが含まれています。

研究に参加しているトリニダード・トバゴの学生、Jonathan Ramtahal氏は、発見したバクテリアが「より広い食物連鎖に有害であるかどうか」を判断することを目的としていると語りました。

「バクテリアが病気の媒介となるかどうか、私たちが心配しなければならないことなのか?バクテリアの多様性から、さまざまな環境でどのように変化するかを知ることができます。」と述べています。

先進国が模範となる

先進国が模範となる

2018年の国連の報告書によると、一人当たりのプラスチック包装材の廃棄物の最大の発生源は米国で、全体では中国が最大となっています ©Charly TRIBALLEAU AFP

他の研究では、マイクロプラスチックが地球上の最も遠い地域に浸透していることが示されており、フランスのタラ・オセアン財団財団は以前、地中海やヨーロッパの大河でマイクロプラスチックを調査したことがあります。

日本政府は、大規模な廃棄物管理システムにより、プラスチックが海に流れ込むのを防いでいるとしています。

業界の調査によると、日本のプラスチック廃棄物の85%はリサイクルされていますが、多くはエネルギーとして燃やされ、二酸化炭素を排出しています。

環境省水・大気環境局水環境課海洋プラスチック汚染対策室室長である中島 慶次氏は、日本の海は近隣諸国の廃棄物の影響も受けていると述べています。

「日本の道路や河川は、他の国に比べてきれいです。」と彼は言います。

日本は「東南アジアや中国で生産されたプラスチック廃棄物を巻き込む大きな海流の下流に位置している。」と中島氏は付け加えました。

2018年の国連の報告書では、一人当たりのプラスチック包装廃棄物の最大の排出国は米国で、全体では中国が最大となっています。

東京の北東に位置する筑波大学のAgostini氏は、この説明には「いくつかの真実がある」としながらも、完ぺきななものではないと述べています。

川の河口や人里離れた湾でプラスチック廃棄物が発見された場合、「何千キロも離れた場所から来たものではない。」ことは明らかだといいます。

Tara-Jambioプロジェクトは、数年後に発表される調査結果でこの議論に決着をつけることはできないでしょうが、Agostini氏は、日本のプラスチック廃棄物のごく一部でも海に浸透していれば、それは「膨大な量」であると主張しています。

日本は、プラスチックへの依存度を減らすために小さな一歩を踏み出しています。

2019年には、2035年までに新しいプラスチックの100%をリサイクルするという目標を設定し、昨年には店舗でレジ袋の有料化を開始しました。

日本のマリンステーション連携組織「Jambio」の代表を務める稲葉和夫氏は、「日本ではパッケージの習慣が根付いている。」と述べていますが、同氏とチームは変化が必要だと語っています。

「先進国が手本とならなければ、誰もやらないでしょう。」とAgostini氏は言います。

© 2021 AFP