「ウイルスを殺す」空気ろ過システムを発表

「ウイルスを殺す」空気ろ過システムを発表 ナノテクノロジー
多機能なエアフィルターを構成する部品の詳細。Virus(ウイルス)、Aerosol(エアロゾル)、CNT Bundies(CNT束)、Electrode(電極)、CNT Filter(CNTフィルター)、Polyester Support(ポリエステル支持体)。※CNT(カーボンナノチューブ)©Liron Issman / Dr Brian Graves

SARS-CoV-2の近縁種である動物のコロナウイルス(コロナを引き起こすウイルス)を含む、さまざまなウイルスを捕獲して破壊することができる、新しい炭素ベースの空気ろ過ナノ材料が、ケンブリッジ大学の科学者とエンジニアによって開発されました。

このプロトタイプは、工学部門のBoies Groupの研究者と、材料科学・冶金部門および病理学部門の研究者からなる学際的なチームが取り組んでテストしたもので、極薄のカーボンナノチューブの導電性膜を備えています。

この新しい導電性ろ過膜は、100℃を超える温度への抵抗加熱によるサーマルフラッシュで、ウイルスのろ過と除菌を同時に行うことができ、ベータコロナウイルス属(新型コロナウイルス感染症のウイルス)を含むウイルスを数秒で不活性化させることができます。

研究者らは、この多機能フィルターは、単体で使用しても、暖房・換気・空調(HVAC)のろ過システムと組み合わせて使用しても、緊急車両、病院、レジャー施設、教育施設などの限られた環境における空気感染症のウイルス拡散対策に特に有効であるとしています。

この結果は、理論的なモデリングに裏付けられたウイルス感染実験で得られた知見を含め、学術誌「Carbon」に報告されています。

このフィルターは、大量生産が可能で、市販のHEPA(High-efficiency Particulate Air)フィルターに匹敵するろ過効率と通気性を持ち、電気的機能を持つ新しいクラスの導電性ろ過媒体です。

コロナウイルスをはじめとする多くのウイルスの媒介となる呼吸器系の液滴は、咳や会話、呼吸などで発生し、空気中に何時間も浮遊し、狭い環境では数十メートルも移動するため、これを効果的に捕らえます。

密閉された空間での高い感染率の原因は、この呼吸器系の粒子にあります。

この革新的なカーボンナノチューブ素材は、同大学で発明された独自のプロセスで製造されており、カーボンナノチューブの商業的可能性を引き出すことを目的とした、EPSRCが資金提供するANAMイニシアチブの柱でもあります。

博士課程の学生であるLiron Issman氏は次のように述べています。

「このプロジェクト(Innovate UKからの助成金によるもの)で得られた知識に基づいて、いくつかの実用的なプロトタイプが開発され、10~20分以内に小さな部屋や救急車の99%の空気浄化を達成するフィルターの能力が示されました。また、コロナやその他の空気感染する病原体に対抗するために、このカーボンナノチューブ素材を最先端のアプリケーションに導入するために、世界有数の空気ろ過企業といくつかの産業共同プロジェクトが開始されました。市場の要求に応えるため、ケンブリッジ大学のスピンアウト1元の企業との資本関係は継続されず、完全な独立企業となる企業であるQ-Flo Limitedが、当社独自のプロセスを商業的に拡大し、当初は10万m2/年以上の膜材料を生産しています。これらの導電性ろ過材の利点は、高い捕捉効率と追加の加熱および感知機能を備えた低い流れ抵抗を提供することです。」と述べています。

Published by University of Cambridge. Liron Issman et al, Filtration of viral aerosols via a hybrid carbon nanotube active filter, Carbon (2021). DOI: 10.1016/j.carbon.2021.07.004