ペロブスカイト太陽電池で99.9%以上の鉛の流出を防ぐ

ペロブスカイト太陽電池で99.9%以上の鉛の流出を防ぐ 化学
このフィルムは、損傷したペロブスカイト太陽電池から鉛が流出しないようにするためのものです。©NREL

米国国立再生可能エネルギー研究所(NREL)とノーザンイリノイ大学(NIU)の研究者らは、損傷したペロブスカイト太陽電池から鉛が流出するのを防ぐことに成功しました。

この研究は、鉛の毒性に対する懸念を払拭するための最新の研究成果です。

ペロブスカイト型太陽電池の光吸収層には、微量の鉛が含まれています。

太陽電池を封止するだけでは、万が一、雹などの悪天候で太陽電池が破損した場合に、鉛の流出を防ぐことはできません。

そのためには、化学的な吸収が鍵となります。

今回の研究では、99.9%以上の鉛の流出を防ぐことができたといいます。

この研究成果は、「On-device lead absorbing tapes for sustainable perovskite solar cells」というタイトルの論文として、Nature Sustainability誌に掲載されています。

米国国立再生可能エネルギー研究所のFei Zhang氏、Jinhui Tong氏、Kai Zhu氏、ノーザンイリノイ大学のXun Li氏、Jianxin Wang氏、Tao Xu氏が執筆しています。

「ペロブスカイト太陽電池のさまざまな構成に適用できるアプローチを開発できたことは貴重です。」とZhu氏は述べています。

Zhu氏と同じ研究者たちは、2020年に、ペロブスカイト太陽電池が損傷した場合に鉛を隔離する実験に成功したことを報告しました。

鉛を吸収するフィルムを開発し、それをセル1太陽電池素子そのものの両面に貼り付けた後、ハンマーで叩いたり、ナイフで切ったりしました。

その後、損傷したセルを水に浸しました。

科学者たちは、フィルムが96%以上の鉛の水への流出を防いだことを確認しました。

他の研究者たちは、鉛の問題を追究し、ペロブスカイト型太陽電池に組み込むことができる樹脂を開発しました。

しかし、米国国立再生可能エネルギー研究所とノーザンイリノイ大学の研究者たちは、「このような追加の修正は、デバイスの製造と構成を複雑にし、デバイスの性能とスケールアップを制限する可能性がある。」と指摘します。

それよりも、ペロブスカイト太陽電池に「便利に取り付けられる」耐久性のある高効率の鉛吸収部品を開発する方が、より良い提案であると論文の中で著者らは指摘しています。

ペロブスカイト太陽電池の両面に簡単に取り付けることができるテープ状の化学吸収アプローチを用いて、解決策を見つけたと考えています。

このテープは、ペロブスカイト太陽電池の両面に簡単に取り付けることができ、一連のテストでは、太陽電池の性能や動作を損なうことなく、鉛の漏出をほぼすべて捕捉することができました。

テープは、一般的な太陽電池用のエチレン酢酸ビニル(EVA)フィルムと、あらかじめラミネートされたジ(2-エチルヘキシル)メタンジホスホン酸層で構成されていました。

ペロブスカイト型太陽電池にダメージを与えた後、科学者たちは、どのくらいの量の鉛が水中に逃げ出すかを定量的に調べる一連の実験を行いました。

ある実験では、損傷したデバイスに落ちた水の中の鉛の濃度は、平均で約19.14ppmでした。

それがテープを貼ることで、10億分の2.13になりました。

なお、アメリカ合衆国環境保護庁では、鉛の含有量が15ppm以下の水を安全な飲料水としています。

Zhu氏は、「EVAはシリコン系太陽電池の封止材としてコスト効率が高く耐久性に優れているため、鉛吸収材をEVAに統合することで、ペロブスカイト型太陽電池の将来的な市場導入を促進するための、工業的にすぐに使える独立した部品となります。」と述べています。

本研究は、米国エネルギー省の太陽エネルギー技術局から資金提供を受けています。

Published by National Renewable Energy Laboratory. Xun Li et al, On-device lead-absorbing tapes for sustainable perovskite solar cells, Nature Sustainability (2021). DOI: 10.1038/s41893-021-00789-1