世界で初めてクモの巣作りの全工程を記録:クモの巣作りの秘密が解明される

世界で初めてクモの巣作りの全工程を記録:クモの巣作りの秘密が解明される 生物学
©GORDUS LAB/Johns Hopkins University

ジョンズ・ホプキンス大学の研究者らは、暗視装置と人工知能を用いて、暗闇の中でクモが作業する際の8本の脚の動きをすべて追跡・記録することにより、クモがどのようにして巣を作るのかを正確に記録しました。

人間の数分の1の大きさの脳を持つ生物が、どのようにしてこれほど優雅で複雑、かつ幾何学的に精密な構造物を作ることができるのか、蜘蛛の巣作りの手順やアルゴリズムが明らかになりました。

この研究成果は、現在オンラインで公開されており、2021年11月発行のCurrent Biology誌に掲載される予定です。

上席著者のAndrew Gordus氏は、ジョンズ・ホプキンス大学ザンビル・クリーガー教養学部生物学科の行動生物学者で、「このテーマに興味を持ったのは、息子と一緒に野鳥観察に出かけたときでした。壮大な巣を見た後、『もし動物園でチンパンジーがこれを作っているのを見たら、すごいと思うだろうな。』と思いました。クモの脳はとても小さいので、これはもっとすごいことなのです。私は、この驚くべき行動がどのようにして起こるのかについて、詳しく知らないことに不満を感じていました。今回、私たちは、ウェブ構築のためのすべての振り付けを定義しました。これは、どの動物の建築物においても、これほど細かい解像度で行われたことはありません。」と述べています。

触覚だけで盲目的に巣を作るクモは、何世紀にもわたって人間を魅了してきました。

すべてのクモが巣を作るわけではありませんが、巣を作るクモは、巣を作る鳥や、交尾の際に精巧な砂の円を作るフグなど、建築物を作ることで知られる動物の一部です。

Spiders’ Web Secrets Unraveled

動画:自動翻訳あり。©PATRICK RIDGELY/JOHNS HOPKINS UNIVERSITY

Gordus氏によると、これらの動物の建築家の比較的小さな脳が、どのようにして高度な建築を支えているのかを理解するための第一歩は、関連する行動や運動技能を体系的に記録して分析することですが、これまでは、主に行動を捉えて記録することが困難であったため、そのようなことは行われてこなかったといいます。

Gordus氏のチームは、アメリカ西部に生息するクモで、指先にすっぽり収まるほど小さいハックルオーブウィーバー(ウズグモ科)を研究しました。

夜間にクモが巣を作る様子を観察するために、研究チームは赤外線カメラと赤外線ライトを備えたアリーナのような観察環境を設計しました。

この装置を使って、毎晩、6匹のクモが巣を作る様子をモニターし、記録しました。

手足の動きを検出するために特別に設計されたマシンビジョンソフトウェアを使って、何百万回もの足の動きを追跡しました。

蜘蛛の巣作りと神経生理学を研究している大学院生のAbel Corver氏は、「たとえビデオで撮影したとしても、多くの個体の足を長時間にわたって追跡するのは大変なことです。そこで、マシンビジョンソフトウェアを学習させ、クモの姿勢をフレームごとに検出することで、巣全体を構築するために脚が行うすべてのことを記録できるようにしました。」と語ります。

その結果、蜘蛛の巣作りの行動はどの蜘蛛でもよく似ていることがわかり、脚の位置を見ただけで、蜘蛛が作業している巣の部分を予測することができたのです。

「最終的な構造が多少違っていても、クモが巣を作るために使っているルールは同じなのです。同じルールを使っているということは、そのルールが脳にコード化されているということです。今度は、そのルールがニューロンのレベルでどのようにエンコードされているかを知りたいと思います。」とGordus氏は言います。

研究室の今後の課題としては、クモの脳内のどの回路が巣作りのさまざまな段階を担当しているかを調べるために、精神に作用する薬を使った実験が挙げられます。

「この研究は、人間を含めたより大きな脳システムを理解するためのヒントを与えてくれるかもしれません。」

著者には、ジョンズ・ホプキンス大学の元学部生で、現在はアトランティック獣医大学の大学院生であるNicholas Wilkerson氏と、ジョンズ・ホプキンス大学の大学院生であるJeremy Miller氏も含まれています。

Published by Johns Hopkins University. Abel Corver et al, Distinct movement patterns generate stages of spider web building, Current Biology (2021). DOI: 10.1016/j.cub.2021.09.030