『新発見』思いやりと自信に満ちた父親の脳は構造的に異なる

『新発見』思いやりと自信に満ちた父親の脳は構造的に異なる 健康

著者情報:Pascal Vrticka氏, エセックス大学助教授・心理学講師

コロナの大流行は、私たちの仕事や生活環境に大きな影響を与えましたが、特に父親たちに顕著な現象が見られました。

全国的なロックダウンの間、父親たちは何百万人も家に居たのです。

シンクタンクのUK Fatherhood Instituteは、これがユニークな社会実験であることに気づき、その結果を調査するために、2020年春に「ロックダウン・ファーザーズ」に関する研究を行いました。

2,045人の英国の父親を対象に調査を行ったところ、ロックダウン中、多くの父親が育児や教育に通常よりも多くの時間を費やしたと報告していることがわかりました。

また、この経験を経て、親としての自信がつき、子どもとの関係が良好になったと答えた父親が圧倒的に多かったのです。

今回、Child DevelopmentSocial Neuroscience誌に掲載された私たちの新しい研究では、この自信がどのようにして得られるのかを明らかにしました。

私たちは、自分の子育て能力や父親としての役割について肯定的な態度をとっている父親は、そうでない父親と比べて、脳に違いがあることを発見しました。

今回の発見はタイムリーです。

多くの社会では、父親の子育てへの関与が劇的に増加しています。

英国父性研究所の研究で明らかになったように、このことは、父親がパートナーの介護の役割を理解したり、父親が子供と過ごす時間の重要性を認識したりするなど、さまざまな影響を及ぼしています。

調査に参加した父親の多くは、パンデミックが終われば、より柔軟な労働時間や在宅勤務の機会などの変化を維持したいと答えています。

しかし、家族と離れていた父親は、ロックダウン中に子どもと会う機会が減り、ロックダウンを終えて、子どもの学校の勉強を手伝う自信がついたと答えた父親は少数派でした。

このことは、父親の関係に関わらず、子供との絆を深めるための時間と空間を与えることで、父親をサポートすることの重要性を示しています。

調査と結果

子どもの成長における父親の役割に関する科学的研究の数は、ここ数年で着実に増加しています。

しかし、子育てに関する研究の大半は母親に焦点を当てています。

これは、歴史的に母親が育児の大部分を担ってきたことや、研究参加者として利用しやすかったことなどが理由として挙げられます。

このギャップを埋めるために、私たちは、愛着と世話の観点から父と子の関係を特に調査したいと考えました。

まず、5〜6歳の父親とその子供66人を研究室に招き、パズルを解いてもらいました。

彼らは一緒に、あるいは単独でパズルを解いたのですが、その間、私たちは父親と子どもの脳を機能的近赤外分光法(fNIRS)でスキャンしました。

機能的近赤外分光法とは、頭部に装着した光センサーで脳の活動を記録する方法です。

次に、協力してパズルを解いているときに、父親と子供の脳が「同調」しているかどうかを調べました。

同調とは、同じ脳領域の活動が、ほぼ同時に減少したり増加したりすることです。

次に、MRI(磁気共鳴画像)を用いて50人の父親の脳の構造を評価しました。

ここでは、視床下部に注目しました。

視床下部は、ホルモンの分泌や体温の維持など、さまざまな生理的プロセスに関与していますが、ペアボンディングや子育て、世話などにも重要な役割を果たしています。

最後に、父親は世話の信念に関連する2つのアンケートに答えました。

「父親の役割に関するアンケート」では、父親が「自分は良い父親になることができる」「子供に配慮すべきである」「子供の成長に関与すべきである」とどれだけ強く思っているかを評価しました。

また、「子どもと一緒に過ごす時間が楽しい」と答えた父親の割合も調べました。

その結果、「自分は良い父親だと思う」という項目のスコアが高ければ高いほど、パズルを解くときに親子の脳がシンクロすることがわかりました。

また、同じ父親(66人中50人)において、脳の解剖学的構造、特に視床下部の大きさが、父親の世話の信念と関連していることがわかりました。

さらに、父親の視床下部の大きさは、子供との触れ合いをどれだけ楽しんでいるかという報告とも正の相関がありました。

今回の結果では、相関関係が明らかになりました。

しかし、視床下部の体積が、男性の父親としての能力を決定するのか、あるいは、良い父親になりたいと思うことが視床下部の体積の増加につながるのかについては、分かっていません。

この疑問に答えるには、さらなる研究が必要です。

その意味するところ

子育てに対する父親の態度は、父親の関与と能力を予測する強力な要因であることがこれまでに示されています。

今回の新たな知見は、父親の育児に対する信念が神経生物学的に重要であることを示しています。

脳と脳の同調は、子どもと親の間の協調とコミュニケーションを促進することにつながるため、このような新しい知見は重要です。

また、今回の研究では、父親の脳の解剖学的構造、特に視床下部の役割についても明らかになりました。

視床下部に関するデータはほとんどが動物実験から得られたものであり、ヒトで得られた数少ない結果はほとんどがパパではなくママに焦点を当てたものです。

私たちは、この最初の発見を受けて、父親の脳の他の脳領域についても調べていきます。

パパの育児参加率は以前にも増して高まっています。

そして、私たちの研究で明らかになったように、父親の育児態度は子供との関係にも影響を与えるようです。

そのため、父親が育児に参加することの重要性を広く社会にアピールし、子供との絆を深めるための十分な時間と空間を与えることは、非常に適切で正当なことだと思います。

そうすることは、父親の自信と能力を高めるだけでなく、父親とその子供、そしてパートナーにとっても有益なことです。

結局のところ、パパはママと同様、生物学的に親になるようにできているのです。

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.